【腸内環境を整えよう】腸の構造と働き、腸活で意識したいポイントを解説
近年話題となっている「腸活」ですが、そもそも腸の働きや役割を知っていますか?食べた物を消化・吸収する以外にも、腸は「第2の脳」とも言われ、脳に次ぐ多くの神経細胞を有しており、感情にも深く関わっています。
理学療法士を保有し、高知市でピラティススタジオを運営している私が、人の健康に深く関わっている腸の働き、健康な腸を保つ方法について解説していきます。
腸はどんな働きをしているの?
人が食事を摂り便として排泄されるまでに、食道や胃、腸の中を24〜72時間かけて移動しています。この消化器官の中でも腸は、人が生命を維持するうえでなくてはならない器官です。以下で、腸の働きを解説していきます。
食べ物を消化・吸収・排泄する
腸は、小腸と大腸の2つに分類されます。
・小腸は、食べ物を「消化・吸収」する器官です。
人が食べ物を摂取すると、唾液や胃の消化液で、炭水化物とたんぱく質が分解されます。さらに腸で、たんぱく質、炭水化物、脂肪へと細かく分解され、栄養素の吸収が行われます。
・大腸は、水分を「吸収」し、老廃物を「排泄」する器官です。
小腸で栄養素が吸収された後、大腸で水分を吸収し、便を作り体外へ排泄させます。食事をしてから便として排泄されるまでに、通常24〜72時間かかります。
外敵から身を守る
人の体内で、最も多くの常在細菌が生息しているのが腸です。大腸には約100兆個にも及ぶ常在菌が存在するとされています。
日々の生活で、細菌やウイルスなどのさまざまな病原体と接する機会のある腸は、外敵から身を守るために、病原菌が入った場合、侵入を感知して排除する「免疫」という仕組みがあります。
このように、常在菌を多く有し、外敵から身を守る働きのある腸を健康に保つことが、身体の健康を守ることに繋がります
健康な腸を保つためには?
まず、健康な腸とは上記で解説してきた栄養の消化・吸収・排泄が適切に行われ、身体の免疫機能が保たれている状態のことです。
では、健康な腸を保つためにはどうすれば良いのでしょうか。必要な栄養素や日常生活で意識したいポイントを4つ紹介していきます。
食物繊維を含んだ食事
食物繊維の摂取により、腸内の善玉菌を増やすことができます。食物繊維は、水に溶けない「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」に分けられます。
・不溶性食物繊維は、水分を含んで膨らみ、便のカサを増やすことで腸の動きを刺激する働きがあります。多く含まれる食品は、キャベツ、ほうれん草、レタス、大豆などです。
・水溶性食物繊維は、糖質の吸収を穏やかにして血糖値の急上昇を抑える働きや、有害物質を吸収し、体外に排出しやすくする働きがあります。多く含まれる食品は、わかめ、ひじき、大麦などです。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、食物繊維の摂取目標量は、18〜64歳の男性で21g以上/日、18〜64歳の女性で18g以上/日必要だとされています。推奨量を意識しながら、無理なく摂取しましょう。
適度な運動・マッサージ
健康な腸を保つために、スムーズな排便を促すことも大切です。運動により腸腰筋を鍛える、おなかの周りを手でもむなど、腸に刺激を与えることで、動きを活発化させることができます。
腸腰筋を鍛えるためには、ウォーキングや階段の上り下り、椅子に座った状態で足踏みするなどのエクササイズが効果的です。
マッサージは、指先ではなく手のひらを使い、時計回りに優しく押していく方法があります。マッサージの圧が強いと痛みが出たり、気分が悪くなったりと逆効果となるため注意が必要です。
ストレスの解消
緊張や不安などの精神的ストレスを感じた際に、腹痛や便秘などの症状を感じたことのある方もいるのではないでしょうか。腸の活動は自律神経のバランスに大きな影響を受けます。
便を排泄させるために、腸は収縮と弛緩を繰り返す「蠕動運動」を行います。この蠕動運動は、副交感神経が優位の際に起こります。そのため、緊張や不安などストレスが強い状況では、交感神経が優位となるため腸の動きが弱くなり、お腹の不調が起きてしまいます。
自律神経のバランスを整えるために、ストレス場面の回避や、発散できるような趣味や運動などを見つけましょう。
生活習慣の改善
健康な腸を保つためには、食生活だけでなく生活習慣全般の見直しが必要です。睡眠時間が短い、朝食を取らないなど不規則な生活を送っていると、腸内細菌のバランスが乱れてしまいます。日頃から適度な運動、十分な睡眠、ストレス対策をバランス良く意識することが大切です。
また、過度な飲酒は悪玉菌が増えたり、喫煙は腸の働きを弱めたりする要因となるため、極力控えましょう。
まとめ
今回の記事では、私たちの健康を維持するうえで、大切な「腸」について解説してきました。
腸には、食べ物を消化・吸収・排泄するだけではなく、外敵から身を守り、健康の維持をしていくための能力が備わっています。また、繊細で自律神経のバランスにも影響します。
健やかな生活を送るために、生活習慣を見直して腸の機能を高めていきましょう。詳しく知りたい方は高知市にあるピラティススタジオ「アルブライト」でご相談ください。
執筆者:上田翔太(アゲタショウタ)
国家資格:理学療法士を保有。高知県内にてピラティススタジオ・パーソナルジム2店舗運営。健康〜美容目的の方まで年間2000件以上のパーソナルレッスンを実施している。